財産分与を成功させるための3つのテクニック
1.夫名義の財産を徹底的にあぶり出すこと
財産分与を成功させるための秘訣は夫名義の財産を徹底的にあぶり出すことです。多くの夫は離婚となると妻に渡す財産をできるだけ少なくしようと画策します。貴女が具体的な財産を指摘して資料の開示を求めなければ、夫から積極的に財産が開示されることはないと思った方がよいでしょう。
3分でわかる!離婚の証拠の集め方でも説明していますが、ここではもう少し詳しくご説明しましょう。
(1) 不動産
まず夫婦名義の不動産(土地、建物、マンション)の登記簿謄本を取り寄せてください。法務局で取得できます。登記簿上の地番が分からなくても、法務局に行けば備え置きの地図を参照して登記簿謄本を取ることができます。
(2) 預金
可能なら夫の預金通帳をコピーしてください。コピーが困難なら、銀行名・支店名・口座番号・残高などを確認してください。このうち銀行名・支店名さえ分かれば、裁判所を通じて銀行から取り寄せることができます。原則として別居時の残高が財産分与の対象となります。
(3) 生命保険証券
可能なら生命保険証券をコピーしてください。解約返戻金の見込額が財産分与の対象となります。
(4) 株式・投資信託等
夫が証券会社や銀行で株式や投資信託を保有しているなら、その書類も取得してください。取得できないなら、取引している証券会社・支店名、銀行名・支店名を控えてください。
(5) 退職金
夫が定年前であっても、今退職した場合に支給される退職金の見込み額が財産分与の対象とされるとする取扱いが多くなっています。したがって、離婚交渉の際、必ず、会社から退職金の見込み額の証明書の発行を求めるべきです。
(6) 夫の給与明細
給与明細を見ると、控除の項目から知らなかった財産が判明することもあります。
(7) 自動車
自動車があれば車検証をコピーしたり、自動車を写真に撮ってください。
(8) 経営している会社の株式
忘れがちなのが夫の経営している会社の株式です。会社は関係ないと考える方もいらっしゃいますが、結婚後に夫が会社を設立した会社であれば、その株式は夫婦共有財産となる可能性があります。
(9) その他
夫名義の財産としてどのようなものがあるか考えてください。長年一緒に暮らしてきた貴女が一番詳しいはずです。
2.財産を適正に評価すること
次に夫名義の財産を適正に評価することが重要です。夫は自分名義の財産を低額に評価しようとするからです。特に問題になるのは次の財産です。
(1) 不動産
不動産の評価額には、時価、路線価(相続税評価額)、固定資産評価額の3つがあり、通常、時価が一番高くなります。夫はこれより低額の路線価、固定資産評価額が基準となると主張することもありますが、財産分与に際しては時価が基準となります。時価については、不動産仲介業者に依頼すると査定書を書いてくれます。
(2) 株式
上場会社であれば実際に取引されている額になります。未上場会社の場合、純資産方式、配当還元方式等により評価することになりますが、会社の規模などによって異なります。
3.自分が結婚前から持っていた財産について固有資産の立証をすること
離婚となると夫は貴女名義の財産も財産分与の対象となると主張してきます。貴女名義の財産(例えば、預金や株式)が、結婚後の夫の給料や自分の給料から形成されている場合は財産分与の対象となりますが、結婚前から持っていた、あるいは親から貰ったなどの場合であれば貴女の固有財産であり財産分与の対象とはなりません。そこで、固有財産ならその旨の主張・立証を行うことが重要です。