モラル・ハラスメント(モラハラ)って知っていますか?
1.モラル・ハラスメント(モラハラ)とは何か?
モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、精神的な暴力、嫌がらせのことです。
職場でもありますが、日本では夫婦間の肉体的暴力を伴わない精神的DVのことを指すことが多いようです。
最初は優しかった夫が、豹変し、突然些細なことで激しく怒って妻を責め立てる。全てが妻の落ち度であることを述べ立て、妻に罪悪感を抱かせる。夫が、何時、どのような理由で怒り出すのか分からず、妻はいつもびくびくしている。夫は、妻の人格を否定し、自尊心を打ち砕く。
このような状況は、これまで「言葉の暴力」、「精神的虐待」と呼ばれることが多かったと思いますが、フランスの精神科医であるマリー・フランス・イルゴイエンヌ氏が「モラル・ハラスメント」と名付け、この言葉は日本でも定着しつつあります。
2.モラハラ夫の特徴
熊谷早智子著「家庭モラル・ハラスメント」講談社+α新書で紹介されているモラハラ夫の特徴を幾つか紹介しましょう(同書206頁以下の付録)。
- 家のことはすべて自分中心に回らなければならないと思っている
- 人と比べて自分がいかに優れているか自慢する
- 人を利用することを何とも思っていない
- 人の痛みには鈍感だが、自分の痛みは大げさに表現する
- 嫉妬心が強く、人の行動を制限したり、チェックしたりする
- 話し合いを拒否する
- 二面性がある
- 人に共感できない
- 妻が不機嫌なのは嫌い
- 言葉で冒とくする
- いつも怒っているわけではない
- おだてに弱い
このようなことは誰でもいくつかはあてはまりますが、モラハラ夫はどう違うのか?
熊谷早智子さんは上記著書で次のように述べています。
「モラ夫は、その態度によって、自分の家庭を、妻や子どもの心を破壊するところに決定的な違いがある。
自分の欲求が通らなければ怒鳴りつけ、無視、無言を長期間続け、物に当たり散らし、体じゅうで『俺は怒っている』という、どす黒いオーラを放つ。家族はそばに寄ることもできない。ましてや話しかけることなど不可能である。
モラハラの最大の特徴は、以上のような方法で相手を支配し、自分の思いどおりに操ることである。「サイレントモラ」という、怒鳴ることも大きな音を立てることもなく、静かに静かに相手を取り込み、自由自在にコントロールするタイプもいる。妻はその状況を素早く読みとり、相手が何を望んでいるかを察知し、速やかに望みどおりのことを実行するようになる。夫は眉ひとつ動かすことなく、妻を操縦する。そして妻は、モラハラをされないよう、どんなことでもしてしまうようになるのである。」
(同書213頁)
私も、以前、裁判所で、相手方の夫の「妻は未熟だから私が指導すべきです」との証言に強い違和感を覚えたことがあります。私が「対当の立場で人生を共有するのが夫婦ではないのか?」と質問しても、「違います。妻は未熟ですから私が導かなければならないのです」と頑なに述べるのです。このケースもモラハラだったのかもしれません。
3.モラハラ被害者であることを知ることが重要
夫からのモラハラを受けている妻は自分が被害者であるとの意識が希薄なことが多いようです。「他の家庭の夫は浮気をしたり、暴力をふるったりしているが、自分の夫は言葉や態度だけだから我慢しなければならない」、「夫を怒らす自分が悪いのだ」と考えるのです。
しかし、貴女が悪いのではなく、貴女はモラハラの被害者なのかもしれません。
モラハラについての書物やホームページを読み、自分がモラハラの被害者であることをまず知ってください。
自分がモラハラの被害者であることを知ることができれば、そこから解決への道が始まるはずです。
貴女がモラハラの問題を解決したいとお考えでしたら当事務所がお手伝いしますので、いつでもご相談ください。