親権者についての協議のないまま無断で離婚届出をされた場合

 未成年者の子供がいる夫婦で、相手方配偶者に、未成年者の親権者を相手方と指定して、自分には無断で離婚届をされた場合にはどうすればよいのでしょうか?

 離婚自体を無効としたいのであれば、協議離婚無効確認調停を申し立てるか、協議離婚無効確認の訴えを提起することになります。

 それでは、離婚自体は認めるけれど、親権者の指定に不満がある場合にはどのようにすればよいのでしょうか?

 これには、(1)協議離婚無効確認の訴えを提起する方法、(2)戸籍法114条により家庭裁判所の許可を得て戸籍に協議離婚届に基づいて記載された親権者を父又は母と定める記載の訂正(抹消)をすると共に、改めて元の配偶者と親権者を定める協議を行うか、その協議が調わないものとして家庭裁判所へ親権者指定の審判を求める方法、(3)親権者変更の審判を求める方法、がありますが、(4)東京高裁平成15・6・26判決(判例タイムズ1149号218頁)は親権者指定協議の無効確認の訴えも適法であるとしています。

 ただし、上記東京高裁の事案では、離婚届出書には自分で署名捺印していることや、当時の状況から、離婚意思はもとより、親権者の指定についても了解していたと認定されています。

(弁護士 井上元)