姻族関係の終了とは?
夫と妻が婚姻した場合、妻の側から見ると夫の血族は「姻族」となり、夫の側から見ると妻の血族が「姻族」となります。
この姻族関係は、婚姻を原因とするものですから、離婚した場合には姻族関係は当然に終了します(民法728条1項)。
これに対し、配偶者の一方が死亡した場合、当然には姻族関係は終了せず、生存配偶者が姻族関係を終了する意思を表示したときに姻族関係が終了するとされています(民法728条2項)。
このように、離婚の場合とは異なり、死亡の場合には生存配偶者による姻族関係終了の意思表示が必要とされており、学説上、批判もあるところです。
死亡による姻族関係終了の意思表示
姻族関係終了の意思表示は、生存配偶者による市町村長に対する届出によることになります。戸籍法96条では「民法728条第2項の規定によって姻族関係を終了させる意思を表示しようとする者は、死亡した配偶者の氏名、本籍及び死亡の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。」と規定されています。
姻族関係終了の効果
姻族関係終了による効果のうち最も重要なものは、扶養を命じられるかもしれない地位(民法877条2項)の消滅です。
配偶者が死亡した後、その親族との関係を終了させたい場合には姻族関係の終了もご検討ください。
(弁護士 井上元)