先日、「養育費は必ずもらってください」というお話を聞きました。
母親である妻が子どもを引き取って離婚する場合、父親である夫に子どもの養育費の支払いを請求できることを知らない方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、現実には養育費の支払いを渋ったり、拒否する夫もいます。
妻は、離婚の交渉だけで疲れ果ててしまい、「それなら、養育費はいらない」と言ってしまいそうになります。しかし、子どものためにも養育費は必ずもらってくださいというのです。
金銭面だけでの話ではなく、子どもの精神、人格形成のためだということです。
どういうことかといいますと、子どもが父親から養育費をもらっていなければ、父親から見放されたという意識を持ってしまうことに対し、少額でも父親から養育費をもらっていれば、父親は自分のことを見放してはいない、守ってくれているという意識を持ち、これが精神、人格形成に影響するということなのです。
養育費というと金銭面にとらわれがちですが、なるほど、こういうことまで考えなければいけないのかと感銘を受けた次第です。
（弁護士 井上元）
