令和元年12月23日、裁判所サイトにおいて改定「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
司法研究概要では、①改定養育費・婚姻費用算定表の考え方、②成年年齢引下げによる影響(養育費の支払義務の終期等)、③事情変更について触れられています。
改定「養育費・婚姻費用算定表」
算定方法の基本的な枠組み
算定方法の基本的な枠組みは標準算定方式・算定表と同様、収入按分型(生活保護基準方式)とする。
統計資料の更新
統計資料・制度等については、最新のものに更新する。
基礎収入
公租公課、職業費、特別経費の割合を見直した結果、給与所得者の総収入に占める基礎収入の割合は、おおむね20~14%となる。
自営業者の基礎収入は、標準算定方式・算定表と同様、基礎収入が同一となる給与所得者の総収入と自営業者の総収入の対応関係を求め、自営業者の総収入に対する所得税及び住民税の割合並びに基礎収入割合を求めることにより算出する(その結果、総収入に占める基礎収入割合は、おおむね61~48%となる。)。
生活費指数
⑴ 子の年齢区分は、標準算定方式・算定表と同様、2区分とし、区分期間は、0~14歳、15歳以上とする。
⑵ 生活費指数算出に当たって用いる公立高等学校の学校教育費の統計は、高校無償化の影響を受けている平成25年度を除く、直近4年分の統計を用いる。
⑶ 生活費指数宇の算出方法は、標準算定方式・算定表と同様とし、世帯区分は考慮しないこととする(その結果、生活費指数は、0~14歳が62、15歳以上が85となる。)。
義務者が低所得の場合
義務者の経済水準が低い場合については、標準算定方式・算定表と同様、算定表の枠内で個別具体的な事案に応じて検討する。
成年年齢引下げによる影響(養育費の支払義務の終期等)
⑴ 改正法の成立又は施行前に養育費の終期として「成年」に達する日までなどと定められた協議書、家事調停調書及び和解調書等における「成年」の意義は、基本的に20歳と解するのが相当である。
⑵ 改正法の成立又は施行自体は、当事者間の協議、家事調停、和解、家事審判及び離婚判決において、既に合意や裁判により満20歳に達する日までなどと定められた養育費の支払義務の終期を18歳に変更すべき事由にはならない。
⑶ 養育費の支払義務の終期は未成熟子を脱する時期であって、個別の事案に応じて認定判断される。未成熟子を脱する時期が特定して認定されない事案については、未成熟子を脱するのは20歳となる時点とされ、その時点が養育費の支払義務の終期と判断されることになると考えられる。
⑷ 婚姻費用についても、子が18歳に達したことが直ちに婚姻費用の減額事由に該当するとはいえない。
事情変更について
⑴ 本研究の発表は、養育費等の額を変更すべき事情変更には該当しない。
⑵ 客観的事情の変更があるなど、既に定めた養育費等を変更すべき場合の養育費等の算定に当たっては、本研究の提案した改定標準算定方式。算定表を用いることが期待される。
詳細は裁判所サイトをご覧ください。
(弁護士 井上元)